『妄想。』


固く閉じた瞼の裏で、
獣が強く跳ねるのを感じた。

ぱしん

残像が白く僕を誘う、
一方で、
やわらかな匂いが咽を焼く。

ぎしり

繋がったままの脚を置き去りに、
揺れる獣の首に噛み付いた。

甘い幻が、
回転する。

いつか、
僕は獣を喰い殺す。