遺書


私はいつも最後の言葉を考える。

どう言えばあなたに伝えられるだろう、
私のしあわせだったことを、
あなたを本当に好きだったことを、
世界を本当に愛していたことを。

私はいつも最後の言葉を考える。

どう言えばただしく伝わるだろう、
何が悪いわけでもなかったのだと、
誰を嫌うわけでもなかったのだと、
ただ私は楽になりたかったのだと。

世界には感動と言うほどのものはなく、
世界には絶望と言うほどのものはなく、
ただ慰めと諦めがあるだけで。

終わることへの恐れはなく、
ただ続けることが恐ろしく、
だから私は最後の言葉を考える。

どう言えば、
どう言えば。

私はいつも最後の言葉を考える。